友人Mさんへの手紙(1)「第31回東京国際映画祭2018」を見て
Mさん、今年も、「第31回東京国際映画祭2018」では、いろいろとお世話になりました。いま、11月2日(金)の午前12時半を過ぎたころです。
1日(木)に、やっと、コンペティション作品16本のうち、日本映画を除く14本を見終えました。いよいよ、今日の夕方に、各賞が発表になりますね。
昨年に続いて、コンペティション作品をABCDの4段階で採点、見ていない日本映画は、「―」がついています。
合わせて、主要な賞の予想をしました。
今年のコンペティション作品は、昨年までのように、「これがコンペ?」と首をかしげるようなものはありませんでしたが、逆に、「これはすごい!」という作品も少なかったようです。
以下、採点です。
B「アマンダ(原題)」(フランス) ミカエル・アース監督
―「半世界」(日本) 阪本順治監督
B「氷の季節」(デンマーク) マイケル・ノアー監督
A「ブラ物語」(ドイツ、アゼルバイジャン) ファイト・ヘルマー監督
C「翳(かげ)りゆく父」(ブラジル) ガブリエラ・アマラウ・アウメイダ監督
B「大いなる闇の日々」(カナダ) マキシム・ジルー監督
B「ヒズ・マスターズ・ヴォイス」(ハンガリー、カナダ)パールフィ・ジョルジ監督
C「ヒストリー・レッスン」(メキシコ)マルセリーノ・イスラス・エルナンデス監督
―「愛がなんだ」(日本) 今泉力哉監督
B「詩人」(中国) リウ・ハオ監督
B「ザ・リバー」(カザフスタン、ポーランド、ノルウェー)エミール・バイガジン監督
B「シレンズ・コール」(トルコ) ラミン・マタン監督
A「テルアビブ・オン・ファイア」(ルクセンブルク、フランス、イスラエル、ベルギー)
サメフ・ゾアビ監督
B「三人の夫」(香港) フルーツ・チャン監督
C「堕ちた希望」(イタリア) エドアルド・デ・アンジェリス)
B「ホワイト・クロウ(原題)」(イギリス) レイフ・ファインズ監督
審査員になったつもりでの、主な賞の予想です。グランプリは、「テルアビブ・オン・ファイア」。複雑な中東の現実を笑い飛ばした作劇術と、映画への愛に満ちた傑作でした。1時間37分、もう笑いが止まりません。監督賞も、「テルアビブ・オン・ファイア」のサメフ・ゾアビ。
女優で、もっとも強烈な印象を残したのが、「三人の夫」のクロエ・マーヤン。あえぎ声の連続で、大熱演。実際は普通の体型の女優さんですが、映画のために、ずいぶん増量して望んだようでした。香港と大陸の関係、経済格差の現状といった背景がくっきり。
男優賞をあげたいのは二人。「シレンズ・コール」のデニズ・ジェリオウル。急激に進む再開発のイスタンブールで、犠牲者ともいうべき、哀れな中年男を達者に演じました。
もう一人は、「ブラ物語」のミキ・マイノロヴィッチ。全くセリフのない映画ですが、列車の運転手に扮したミキ・マイノロヴィッチが、列車にひっかかったブラジャーの持ち主を訪ねていく話。「アンダーグラウンド」や、「さあ帰ろう、ペダルをこいで」でもお馴染みの男優ですね。
グランプリは、この「ブラ物語」でもいいのではと思っています。ドイツとアゼルバイジャンの合作ですが、ユーモラスな描写に加え、詩情豊かな雰囲気が漂い、好きなタイプの映画。つい、ジャック・タチの「ぼくの伯父さん」や、アルベール・ラモリスの「赤い風船」を思い出しました。
そのほか、主に見た「ワールド・フォーカス」部門は、賞とは関係ないので、また後日、メールしますね。とりあえず。
11月2日(金)午前1時35分