top of page

今週末見るべき映画「女王陛下のお気に入り」

――18世紀初頭、フランスと戦争中のイングランドに君臨した女王アン。気まぐれな女王に成り代わって権力を握るレディ・サラ。そこにサラの従妹アビゲイルが現れ、愛憎入り交じっての三者三様の駆け引きが始まる。

(2019年2月12日「二井サイト」公開)

現地時間で2月24日に発表になる第91回アカデミー賞で、9部門、10ノミネートを果たしたのが、「女王陛下のお気に入り」(20世紀フォックス映画配給)だ。

 女王アン(オリヴィア・コールマン)は、病弱で気まぐれながら、多大の権力で、イングランドに君臨している。アンの幼なじみで、アンの信頼の厚い女官長のレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)が、アンに成り代わって采配をふるっている。

 レディ・サラの夫、モールバラ公爵(マーク・ゲイティス)は、戦線で勝利しつつあって、レディ・サラの権力は、さらに強くなっていく。そこに、レディ・サラの従妹で、落ちぶれた貴族のアビゲイル(エマ・ストーン)が、野心に満ちて、宮廷に現れる。

 アビゲイルは、痛風で悩むアンに、自ら摘んだ薬草で、アンを癒す。たちまち、アビゲイルは、アンのお気に入りとなる。

 当時、イングランド議会は、戦争を推進するホイッグ党と、戦争終結を目指すトーリー党に分かれていた。戦費のための増税反対を唱えるトーリー党の党首ハーリー(ニコラス・ホルト)は、フランスとの和平をアンに訴える。

 ホイッグ党を支持するレディ・サラは、「女王の判断は、戦争の継続」と、ハーリーに言い渡す。

 アンとレディ・サラは、すでに女性同士の関係になっている。深夜、アビゲイルは、アンとレディ・サラの関係に気付く。

 ハーリーは、アビゲイルに目を付け、それとなく、アンとレディ・サラについての情報を探るように迫る。アビゲイルは、ハーリーの頼みを断る。

 様々な権力闘争が展開する。栄華は、長く続かない。アン、レディ・サラ、アビゲイルのそれぞれの関係もまた、複雑な様相を呈していく。

アン、レディ・サラ、アビゲイルの三者三様、女性同士の愛憎が絡み、駆け引きの応酬が、見どころ。脚本のおもしろさ、衣装の見事さ、舞台装置の艶やかさもまた見事。アカデミー賞に、多くノミネートされるだけあって、ズシリとした見応えだ。

 女優3名の演技が、がっぷりとぶつかり、すさまじい。王女アンに扮したのは、オリヴィア・コールマンだ。もちろん、主演女優賞にノミネートされている。

 「天才作家の妻―40年目の真実―」のグレン・グローズ、「アリー/スター誕生」のレディー・ガガ、未見だが、「ROMA/ローマ」のヤリツァ・アバリシオ、「Can You Ever Forgive Me?(原題)」のメリッサ・マッカーシーと並んでのノミネートだ。本命はグレン・グローズと思うが、心情的には、オリヴィア・コールマンに差し上げたい。

 助演女優賞に、すでに主演女優賞を受けたレイチェル・ワイズとエマ・ストーンが、ダブル・ノミネートされている。

 監督は、「ロブスター」「聖なる鹿殺し キリング・ア・セイクリッド・ディア」を撮ったヨルゴス・ランティモス。その才気走った露悪さは、ややトーンダウンするが、なあに、十分、権力の愚かさを笑い飛ばし、おどろおどろしい宮廷絵巻が用意されている。

 宮廷、屋外ともに、ほぼ自然光。魚眼と広角レンズを駆使したロビー・ライアンのカメラがすばらしい。そういえば、ケン・ローチ監督の「天使の分け前」「わたしは、ダニエル・ブレイク」などのカメラも、ロビー・ライアンだ。

 アカデミー賞では、作品賞、監督賞、主演女優賞、ふたりの助演女優賞、脚本賞、撮影賞、美術賞、編集賞、衣装デザイン賞と、9部門10ノミネートである。かなり獲得するものと思われる。

 18世紀初頭の宮廷群像劇は、現在とそれほど変わらない権力闘争をほのめかす。腐敗が横行し、不正がまかり通る状況は、古今東西、どの場所でも、永遠に続くのだろう。

 ギリシャを離れてもなお、ヨルゴス・ランティモスには、撮りたい映画を撮り続けていただきたい。

☆ 2019年2月15日(金)~ TOHOシネマズ シャンテ ほかにて ロードショー

タグ:

最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page