今週末見るべき映画「教誨師」(きょうかいし)
――死刑囚に面会し、話しかけ、話を聞く。まだ新米の教誨師で、牧師の佐伯保は、さまざまな境遇の死刑囚たちと向き合っていく。 基本的に、死刑に反対である。 制度そのものは、凶悪犯罪の抑止力だが、そもそも、死刑に値するような犯罪を無くすことが、政治の大きな務め、役割だと思っている...
今週末見るべき映画「運命は踊る」
――息子が戦死したとの誤報が、イスラエルに住む夫婦の運命を翻弄する。戦場での検問にあたる息子もまた、人生の歯車が狂っていく。 運命について、古今東西、いろんな人が言葉を残している。 「運命は我々を導き、かつまた我々を翻弄する」(ヴォルテール)。「平らな道でもつまずくことがあ...
今週末見るべき映画「顔たち、ところどころ」
――映画監督アニエス・ヴァルダと、写真家でアーティストのJRが、フランスのあちこちを旅する。年齢差54歳。いわば、おばあちゃんと孫の旅。出会った人たちを写真に撮り、大きく引き延ばして飾る。心がほんわかとなる。 2015年、アニエス・ヴァルダの娘ロザリーは、母親に、フランス人...
第12回 編集よもやま話 「キューバ音楽のいまを編集する」 10/21開催へ
二井康雄です。お元気でお過ごしでしょうか。 2015年6月から、神田神保町の「ブックカフェ二十世紀」のオーナー、鈴木宏さんのご提案で、「編集よもやま話」というトークイベントを、不定期ですが開催しています。 ぼくは、暮しの手帖社で、ほぼ40年、編集の現場にいました。ここで学ん...
今週末見るべき映画「ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪」
――キュビズムから現代アートまで、20世紀を代表するアート・コレクションを築いた女性ペギー・グッゲンハイムの、アートを愛し、アートとともに生きた人生を描く。 大富豪の一族、ペギー・グッゲンハイムのアートに捧げた人生を描いて、あきない。ドキュメンタリー映画「ペギー・グッゲンハ...
今週末見るべき映画「判決、ふたつの希望」
――侮辱、謝罪をめぐるささいな諍いが、民族や、信じている宗教、政治思想などの違いで、大騒動になる。この軋轢を生む背景を、骨太で、まことに力強く描ききる。 「判決、ふたつの希望」(ロングライド配給)の原題は、「The Insult」、「侮辱」である。「侮辱だ」、「謝罪しろ」の...
今週末見るべき映画「タリーと私の秘密の時間」
――3人目の子どもが生まれようとしている主婦マーロのところに、完璧ともいえるベビーシッターのタリーが現れる。ところが、タリーには、ある秘密が……。 「JUNO/ジュノ」や「マイレージ、マイライフ」で、職人肌の演出を見せたジェイソン・ライトマン監督の新作が、「タリーと私の秘密...
今週末見るべき映画「スターリンの葬送狂騒曲」
――1953年、粛清の名のもとに、恐怖政治でソ連を支配した独裁者スターリンが亡くなる。次期権力者の座を狙って、マレンコフやフルシチョフ、ベリヤといった側近たちが色めきたつ。まるで、ドタバタコメディ。辛辣さ、たっぷり。 いま、ショスタコーヴィチの交響曲第10番を聴いている。演...
今週末見るべき映画「エヴァ」
――新進作家で美男のベルトランは、盗作の戯曲でのし上がっていくが、エヴァという娼婦に出会い、魅せられていく。それが人生の破滅とも知らないまま。 昔、ジャンヌ・モロー主演、ジョゼフ・ロージー監督の「エヴァの匂い」というフランス映画があった。ローマの娼婦エヴァの興味は、金だけ。...
今週末見るべき映画「セラヴィ!」
――ベテランのウェディング・プランナー、マックスに、古城が会場となる豪華絢爛な結婚式の依頼が舞い込む。てんやわんやしながらの準備に、抜かりはなかったはずなのに……。常套句「これが人生!」と題された傑作コメディだ。 2017年、フランスで「セラヴィ!」(パルコ配給)が公開され...