第21回「東京フィルメックス」回顧――広域アジアから新鋭監督の作品がズラリ
この10月30日(金)から11月7日(土)まで開催された第21回東京フィルメックスが終了した。 コロナ禍の影響下、なんとか無事に開催された。関係各位に感謝したい。 今年のコンペティション作品は12本。広域アジアから、新鋭監督の作品がズラリ。12本のうち、10本、見ることがで...
友人Mさんへの手紙―第33回「東京国際映画祭」回顧
お元気ですか。今年の東京国際映画祭も、さぞたくさん、ご覧になったことでしょう。 今年は、東京フィルメックスと会期がほぼ重なったこともあって、東京国際のほうは、多くの作品を見ることは出来ませんでした。コンペティション部門がなくなり、予想する楽しみが消えました。...
今週末見るべき映画「薬の神じゃない!」
――2014年、中国で、ジェネリック医薬品の密輸入事件があった。慢性骨髄性白血病の患者だった陸勇が、インドから安い価格の抗がん剤を密輸入し、同じ患者に販売したことで、陸勇は起訴される。 映画「薬の神じゃない!」(株式会社シネメディア配給)は、この事件を基に、上海を舞台にした...
今週末見るべき映画「イサドラの子どもたち」
――舞踊の世界に革命をもたらした天才的な女性ダンサー、イサドラ・ダンカン。その遺伝子を受け継ぐかのように、4人の女性が登場し、イサドラの残した自伝「わが生涯」や舞踊譜などを元に、それぞれのイサドラ像に迫ろうとする。 「イサドラの子どもたち」(コピアポア・フィルム配給)は、静...
今週末見るべき映画「ジャズ喫茶 ベイシー Swiftyの譚詩――Ballad」
――今から50年前、岩手県一関市に、「ベイシー」というジャズ喫茶を開いた男がいる。店名の「ベイシー」は、もちろん、カウント・ベイシーの名前からで、マスターは1942年生まれの菅原正二さん。ドキュメンタリー映画「ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)」(アップ...
今週末見るべき映画「TENET テネット」
――2時間30分、一気呵成に見せてくれる。クリストファー・ノーラン監督の新作「TENET テネット」(ワーナー・ブラザース映画配給)は、そのスケールの雄大さ、映像表現の斬新さで、映画史に残るだろう。第三次世界大戦で起こり得る人類の危機を阻止しようとする、名もなき男の活躍を描...
今週末見るべき映画「ソワレ」
――「此の岸のこと」や「わさび」「春なれや」といったすぐれた短編を撮った外山文治監督の、「燦燦―さんさん―」に続いての長編第2作目だ。タイトルはフランス語で、夕方から後の時間のこと。転じて、芝居やコンサートなどの夜公演を指す。また、夜会や夜会で着用するドレスもまた、ソワレと...
今週末見るべき映画「真夏の夜のジャズ」
――アメリカのロードアイランド州ニューポート。1954年からスタートしたジャズ・フェスティバルがある。1958年の第5回ニューポート・ジャズ・フェスティバルのドキュメンタリー映画が、公開からほぼ60年を経て、このほど4Kでよみがえる。...
今週末見るべき映画「死霊魂」
――これはもう、ドキュメンタリー映画の枠をはみ出した貴重な記録で、誰かが後世に伝えなければならない歴史そのものだろう。現代中国の歴史でも、いまだ明らかにされていないと言われている、いわば歴史の闇とも言える「反右派闘争」で生き抜いた人たちの、貴重な証言がズラリ。...
今週末見るべき映画「ぶあいそうな手紙」
――(承前)もう一本は、7月18日(土)の公開で、ブラジルに長く暮らすウルグァイ出身の頑固な老人と、ブラジルの若い娘とのちょっとした心の触れあいを描いた「ぶあいそうな手紙」(ムヴィオラ配給)。どちらも、個性的で、ひとくせもふたくせもある、まことにコクのある映画だ。...